神奈川県厚木市愛甲石田　季節の移り変わりを料理で感じる。「鮨処 酒主」の大将

鮨処酒主のHPへようこそ。

はじめまして。
私、酒主の大将をしております 酒主浩義（さかぬしひろよし） と申します。
自分がどの様な考え、気持ちで現在に至るのか自己紹介を兼ねて、
現在・過去・未来（ミッション）を語ります。

昭和35年　横浜生まれ　二人兄弟の長男でB型です。
働き者の両親に恵まれ、高校入学までは何不自由無く育ちました。

高１の15歳の夏に転機が訪れました。両親が離婚、僕と弟は母に引き取られ、3人での生活が始まりました。今振り返ると多感な年頃で純真だったのでしょうか、母の反対を聞かずすぐに高校を辞めて働き始めます。深夜のお弁当を作る会社にアルバイトとして採用が決まり手先が器用だったせいか包丁を握らされ、野菜や肉をカットしていました。仕事に慣れ落ち着いて来た頃からか、自分の将来の道を毎晩の様に考え、悩み始めます。健康でしたが、中肉中背で体力も学力も無い自分に、何ができるのか・・・？
僕の背中を押したのは、当時放送されていたTV番組　“前略おふくろ様”でした。　50代の方はご存じかと思いますが、ビデオ化されている名作です。

前略おふくろ様

主人公のショーケン（萩原　健一）が演じる料亭の板前がカッコ良かったのです！（若者は単純です）ショーケンの影響（せい？）で料理人を目指し始めます。
丁度その頃、母親の知り合いから　“長野県　松本の寿司屋で板前さんが独立して辞めるので、行ってみないか？“　とのお話があり翌年4月（16歳）から、寿司職人としての人生が始まりました。

意気揚々と長野へ向かった16歳。

不安より、期待と緊張感でいっぱいだったのが忘れられません。 そのお店は、松本駅からは離れてますが　“天神通り”と言う 歓楽街のど真ん中にある小さなお店でした。
朝10時から翌日の午前3時頃まで（休みは月2回）よく働きました。 お客様にも可愛がられ、雑用と出前ばかりの仕事でしたが、 まわりは大人ばかり、一年足らずでホームシックになり ラジカセとバイクの雑誌を持ち、“夜逃げ”します。 尾崎　豊の世界ですね。　　
家に帰ると、かーちゃん（亡き母の呼び名です）に怒られました。

“お前の帰る家は無い！　松本に戻りなさい”

かーちゃんに付き添われしぶしぶ松本に戻ります。（母を見送りに松本駅に行った時、電車の閉まった窓の中で号泣していた、かーちゃんの顔は今でも忘れられない）思い出すと 涙が出ます。
結局、松本のお店は2年足らずで辞めてしまいました。地元　茅ヶ崎に帰り半年位して同級生から、知り合いの寿司屋で働いてみないか？　との話が・・・。このお店には6年位、お世話になりました。厳しい、昔気質の親父さんでしたが、仕事を早く覚えたかったらどうすればいいか？（誰よりも早く出勤しなさい）を教わり、素直に実行！メキメキと身に着け１年あまりで、にぎり始めます。

24歳、生意気盛りで違う店に飛び込みます。個性的な親方の店を渡り歩きました。松本のお店から数えて9件、老舗とか有名店ではありませんが皆、良い親方に恵まれたと思います。中でも、最後にお世話になった　大磯プリンスホテルで感じた事が忘れられません。
500人余りの立食パーティを何回も経験させてもらいましたが ステーキ・北京ダック・天ぷら・ローストビーフ・刺身等の屋台が居並ぶ中、毎回ダントツで握りずしのお店が一番最初に完売する事でした。
お寿司は“国民食”なんだと痛感します。どんなご馳走よりも、お寿司を食べたいと思う人が多い現実を体験させて頂きました！

34歳のH7年7月3日　伊勢原東成瀬に“寿司屋の塾”を開店！

バブルが弾けて数年が過ぎた1994年に念願の店　寿司屋の塾　を開店します。“厳しい時代だよ”と言われながらも現在よりは景気が良く、鮨の他にも一品料理を頑張って仕込した甲斐あり、予想外に繁盛しました。 自分の店が持てた達成感であふれ、毎日３時間の睡眠、定休日も朝から仕込をし、よく働いてました。 反面、若かったせいもあり生意気で、お客様ともトラブルを起こしたり、お説教されたのを思い出します。 ただ、嘘をつかず（産地・漁法・天然物・自家製等々）自分の目で確かめた仕入をして、自信を持って勧める 商いを続けて来ました。
“たまに失敗もします(・_・;)”

光陰矢の如し　今のお店　鮨処酒主　も開店から早11年が経ちます。寿司屋の塾から20年、愛想も良くなく 生意気な親父がよくやってこれたなあと思います。飲食店は時間も長いし大変な仕事ですが、 満足したお客様が帰り際にこちらを振り返り、“ごちそう様でした”と言ってくれる瞬間がたまらなく嬉しく この仕事を続けて良かったとしみじみ思います。この思いを今の若者に伝える事ができる様な鮨屋の親父 に成りたいと思います。美味しい物を食べると人は幸せな顔を見せます。これからも、食を通じて 多くの人に“幸せ”を与える伝道師として精進致します。

平成27年7月　　鮨処酒主　大将　酒主浩義